極相の森

南富良野町には各地区ごとに水源の森があります。

水資源と森林の関係性、いわゆる森林のもつ水源涵養機能は古くから認識されていたようで、南富良野町の水源の森は過度の伐採などから守られ、整備されてきたようです。

水源の森に立ち入ると、ミズナラ、イタヤカエデ、シナノキ、ダケカンバ、エゾマツ、トドマツなど、針広混交林を構構成する樹種が迎えてくれます。それぞれの樹種は人為が加わらない環境で樹種間、同種間、コーホート間などで競争を行い地域固有の林相を形作ると考えられています。そのような環境では、樹木は寿命を迎えたり、雪害、風害、カミキリムシの穿孔による虫害、エゾシカの樹皮剥離による獣害などのインパクトにより、その身を大地に預けていきます。寿命を全うした樹木が倒れたとき、森林を上から見るとその部分だけに穴(ギャップ)ができます。ギャップができると、森林内の光環境が改善され、時代を担う構成員たちが堰を切ったようにそのギャップを埋める競争を開始します。

このように、大規模なかく乱がない天然林ではギャップ状に森林の更新が進み地域固有の林相を維持していくのでしょう。その結果として、われわれの水源が維持されています。この水源の森を畏敬の念を込めて「極相の森」と呼び習わしています。「極相の森」が世代を超えて守られていくようにこれからも見守っていきたいと思います。